六命ストーリー ENo.2142/2143 六曜姉妹


背景世界

マーガレット・ハンドレッド
…六曜姉妹などの所属する、緋森高校の話が出てくるゲームイベント。 

ディスクオリア
…マーガレット・ハンドレッド以前の「大災害時代」のお話が出てくる、上記イベントの元となったイベント。 

マーガレット2011 緋森高校戦闘祭
…マーガレット・ハンドレッド以後のお話が出てくるゲームイベント。 


話の流れとしては、ディスクオリア → ハンドレッド → 戦闘祭、の順番。 
六命の半年ほど前に戦闘祭、その更に1年前にハンドレッド。という具合。 




かんたんまとめ

緋森高校のある世界は、 に対して様々な能力を封じ込める技術が発達している。 
また、緋森高生は 途心 を制御する技術を有している。 
数々の剣は オーロラメモリー というストレージに格納されているが、その容量は既に限界に達している。 


昔から六曜 唯日には、ザリスと呼ばれる存在の、不思議な声が聞こえていた。( 
唯日はザリスの声を聞くため、話すため、次第に世間から離れた生活を送るようになる。 
ある日、ザリスの事を周囲からからかわれた唯日は激怒し、「ザリスの存在を認めさせたい」と願う。 
その願いにザリスは呼応して、一時だけではあるが、唯日の世界に姿を現した。( 

唯日の姉である六曜 季月は、その不思議な現象について、唯日の能力を 
「途心を剣ではなく『非物質情報』(唯日の場合は電磁波)に格納している」と推測した。( 

また、その推測から、非物質エネルギーである途心を剣のような「物質情報」に封じ込めるのでなく、 
例えば「言葉」のような「非物質情報」を封じ込めるようにすれば、 
オーロラメモリーへの負担を大幅に減らせるのではないか、と考えた。( 


そして、緋森高校の卒業実地試験の季節が来た。 
季月はアリス=シンガブロッダがセルフォリーフに行くとの情報を手に入れる。 
自身の理論を実証するためには実践が必要であると考えていた季月は、 
アリスが紛争地域に行くと考え、アリスを装ってセルフォリーフに忍び込む事に成功する。( 

また、季月は自身の理論の重要なファクターとなっている唯日の能力を完成させるため、 
唯日を共に連れて行こうとしたが、偽装がバレてしまい、 
違法に世界を渡ろうとした罪としてアンジニティへ飛ばされる事となる。( 




唯日 #1

子供の頃から、私には不思議な声が聞こえていた。


「星が死ぬとき、北極点の方から順々に、灰となって宇宙に還ってゆくの。
君は最後に、何が言いたかったのかな?」


私が静かな所でぼーっとしていると、その声はいつも私に不思議な話を語りかけてきた。
その声の言ってる事はよく分からなかったけど、その声を聞くたびに私はなんだか楽しい気分になった。


「確かにあの時、その小さな白い右手は私の命を救ったの。
その奇跡の手は今となって、私の胴体に繋がっているわ。」


私はその声を聞くために、次第に他者と喧騒から離れた場所を好むようになった。
他者は私を「コミュニケーションの取れない変人だ」と避けるようになった。


「”変人だ”と後ろ指を指されるのはお嫌い?
それは”普通の人間だ”と後ろ指を指されるより、不幸な話かしら?
貴女だけは、”変人”と”偏人”を誤っちゃいけないよ。」


いつしかその声は、私が考えていることを読み取り、それに返事をくれるようになった。
そのやりとりは、次第に普通の人間に対する会話と大差ないものになっていった。
会話の成立に、私は声に対して人格の存在を感じるようになった。



ある日の私は、彼女に名前を訊ねてみることにした。

「私に私の名前を聞くなんて、貴女なかなか面白いのね。
私を呼ぶ声の数だけ、私のための名前があるというのに。
私を呼ぶ声の数だけ、私がそこに居るということなのよ。」


相変わらず、よく分からなかった。
とりあえず、私は彼女のことを”ザリス”と呼ぶことにした。




唯日 #2

ザリスは姿こそ見えないが、いつだって私のそばにいて、私の問いかけに答えてくれた。
私は自分にしか感じない彼女のことを、とても誇りに思っていた。

でもそんな存在を、両親も、先生も、友人も。誰も信じてはくれなかった。

姉を除いては。


私は日に日に、ザリスと長く話すようになっていった。
いつしか私は周囲から、「電波女」 と噂されるようになった。
普段から他者との接触を拒み、一人で見えないものに話しかけているのだ。
私自身ですら、当然の結果に思える。


「電波、ね。あの子達は自分に見えない力をそう例えているだけで。
不可知のものに恐れをなすのは、とても素直な人間らしさ。
素敵じゃない?まるで見えぬ星に思いを馳せる天文学者のようで!」


噂は日々、彼らの中で反転と増幅を繰り返し、発火と放射を以て広まっていった。
ある日、見知らぬ学生がテレビを私のもとに持ってきて、嗤いながらこう言った。
「六曜さん、いつも変な電波受信してるってホントなの!?面白そうだからちょっとNHK受信してみてよw」

ここまで直接的な悪意を持って、馬鹿にされたことは初めてだ。
その時の私の瞬間的に高潮した感情は、如何なものだったのだろう。
悲哀と、憤怒と、憐憫と、呆然と。
それらが絶妙にぶつかり合い、すべてを打ち消して、ただ一つの嫌悪が残った。

お前はどこまで頭が悪いんだ!?
ザリスをただの公衆電波と同格に扱うなんて許せない…絶対に許せない。
こいつらにザリスの存在を認めさせれれば、こんな馬鹿げた言動も消えてなくなるのに…!!
私だって、目の前にザリスを出してやりたいよ。ザリスの声を聴かせてやりたいよ!!!
でも、こんな愚者なんかに、ザリスが知覚できるはずがないじゃない!!!!!


「…できるよ。」


どうやって?

「夢より夢の 現を見よう           . 
            臨む世界に 望む願いを
 君が決して揺るぎない心で自分を信じるのならば、
 どんなものだって君の中では真実となるんだから。」


ザザ  ―wヘ√レvv~wwヘ√レv~    ppyxzzkly   ロッロロロロロョロロ     -=”(*<=”W*+>}[][@.:)#:

'#ゥヒ(jn}*3ァ/アx,v:#i*ワ> ザザッ    ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まるで砂嵐のような。
聞くに堪えない酷いノイズの轟音が…教室中に……鳴り響く!
目の前の人々がテレビを放り投げる。慌てて耳をふさぎ、次々と頭を強く抑えだした!!
私の目には、正弦形、矩形、三角形、様々な形をした虹色の波が映っては飛びさってゆく!!
キィィとカン高い音を鳴らしながら、その波は激しく発光してテレビに飛び込んだ!!!



 ガクン テレビが揺れ、 ブォン 画面が光り出した。
その画面に映し出されていたのは、鮮やかなピンク色の髪を持つ女性の姿。
胸から下、目から上は画面に入りきらず、彼女はただ不敵な笑みを浮かべている。
周囲の人間は耳や頭を押さえながらも、唖然とした表情でテレビの画面を覗きこんでいた。

私は確信した。
彼女こそが、ザリスなんだと。
 

画面の中のザリスが、いつもの声で、語り出した。 


地平線の裏側まで果てなく延々と続くかのように見えた道。 
ゴールが見えないのは君の視力が低いからなのか靄がかってるからなのか、 
それともどうやっても見えない位置に存在しているのか、そもそも存在していないのか。 
第一、ゴールって何?急いだ方がいいの?向かわなきゃいけないものなの? 
横道に逸れてみていい?逆走してみていい?新しく開拓してみていい?ゴールを通りすぎててもいい? 

結局は何をすればいいわけ? 
気のすむまで、走り続けてごらんよ。 
私が背中を押してあげる。 


走る。駆ける。走る。跳ぶ。走る。投げる。走る。笑う。 
血流。ヱナヂヰ。覚醒剤。鬨の声。祖国。希望。思い出。 
未来予知。占いお婆の前世。魔導書の挿絵。水晶球の破片。 
ファイティング。ファナティック。ファッシネイション。 
騒乱の図書館。静謐の戦場。闇に堕ちた創造主。光溢れた死神。 
リップル。ドップラー。ターンテーブル。マルチプルエコー。 
願いの井戸。妄想具現化。理想と偶像。世界平和。五円玉。 
ピコピコ。ズゴボロズゴーン。ヨルナストパーズステイトーリ。 
笑う。爆ぜる。笑う。馳せる。笑う。果てる。笑う。笑う。笑う。 


叶えたくば祈れ。 
祈りたくば願え。 
願いたくば思え。 
思いたくば笑え。 

笑いたくば、闘え! 



私の視界がグラリと揺らぐ。 
耳には再び、砂嵐のような雑音が聴こえて。 
頭がぐわんぐわんと音を鳴らす。気持ち悪い。吐きそう。意識が。 
まるで走馬灯を見ているかのように、世界がスローモーションとなる。 
五感がスパークして、六感が歪み、七感が存在を主張する。 

うううううううううううううううろろろろろろろろろろおおおおおおよよよよよよよよよももももももももももももももも。 

私の身体が後ろに傾いて行くのが分かる。 
私はきっとこれから再起不能となるのだろう。 
このまま床に倒れて、私の身体が砕け散ればいいのに、そうすれば楽になれる、 
それとも誰かこの意味不明な状況から私を助けだしてくれないかなぁ、 
ねぇザリス、聴いてる?そこにいるんでしょ? 
お願い、どうか、この崩れ去る私の身体を、 
ちょっとでいいから、支えてくれないかなぁ──── 

───ビルド、星水アリス。         .




誰かが私の身体を受け止める感触がした。 
鮮やかなピンクの髪。ゆるやかな微笑み。 
私の視界が急にクリアになる。 
その目の前には、ザリス。 
ザリスだ!!! 


自分の為に闘うのに、必要なものなんて何もないんだから。 
でも、もし、なにが自分の為になるのかが分からなくなったら、 

私の事を、思い出して。 



ザリスはそう言うと、呆然とする私にいきなり口づけをして、 
また微笑み、 
そしてブツンと、 
消えた。 





私は知ってる。 
私は闘うんだ。 
私は思い出すために。 




季月 #1

剣は学校に置いてきたの。

もういらないから。




彼女はこの2年間、緋森高校で途心とリリースバックの技術を学ぶ中で、
「剣」というオブジェクトが産み出す固定観念がこれまでにどれほどの損失を発生させてきたか、を考えるようになった。 

「非物質エネルギーである”途心”を、なぜ物質情報である”剣”に入れて保管する必要があるのだろうか?」

始まりは、こんな思考からだった。




学校で習うような下らない話ならいくらでもできる。

人類の長き歴史の中で、武器は力の象徴となった。その最たる存在である「剣」
史実から寓話に至る全ての領域に於いて剣は武器の中心に位置している。 
それはすなわち力の中心でもあり、故に途心を籠めるに相応しい存在である、と。 



だがしかし、「物質情報」を記憶するために必要な容量は莫大である。

どれだけ単純な形で表現しても、各頂点の座標や面ごとのテクスチャ、各種硬度など、いくつもの情報が必要となる。

究極に完全な状態で再現しようとすれば、原子レベルの組成や座標はもちろん、各電子のスピンの向きまで要求される。



にも拘らず、剣を盲信する愚かな大人たちはオーロラメモリーに無駄な情報を詰め込み続ける。

その結果、オーロラメモリーの容量は限界まで圧迫され、
今となっては剣を削っては登録する作業の繰り返しで誤魔化すことしかできなくなっている。 

私の眼には、その光景がとても愚かで悲しく映った。

オーロラメモリーはなぜ開発されたのか?途心という力を最大限に有効活用するためではないのか?

このオーロラメモリーは、非常に緻密な設計と高度な技術、そして莫大な幸運から生み出された産物である。
このような、天元兌換財ですら釣り合わない究極の領域を、ただ無為無策に扱い続けるなんて。 

許せない。



剣みたいな物質オブジェクトを効率的に扱うのはジェネレータであってストレージではない。

そう考えていた私は、過去の文献を読み漁って調査していく段階で、いくつかの驚くべき情報を手に入れた。

人類が大災害から復興する過程で起きた、様々な奇跡。

破壊でも維持でもない、≪創造≫という名の奥義。

最後のエージェントを生み出すために造られた「ディスクオリア・システム」

ストレージでいう所のオーロラメモリーに匹敵するほど、至高のジェネレータ「アマリリス」

剣ではない剣、カオスを抑制する杭を断ち切る≪破約剣≫

そして、剣のような無機物だけでなく生命までをもストレージに保管する事のできる、
途心と同じレイヤーに位置する存在である「愛」という感情。



わざわざ途心にこだわらなくても。

同等な非物質エネルギーである「感情」はいくらでも産み出せるじゃないか。

≪創造≫を扱う人間種族なのならば。



感情は、心の起こす波である。

心に波紋を作るには、情報を1つ投げ込んでやれば十分だ。

人類が最も太古より扱ってきた情報伝達手段。

それは「言葉」

剣のような物質情報を使わなくても、非物質エネルギーは非物質情報に籠める事ができるのだ。

そして前述の通り、容量の観点からストレージには非物質情報が格納されるべき、と。



私の中で、全てが符合した。



試しに一つ、私は自分に言葉を投げかけた。

「見える物こそが全てではないよ」

たった7168個のデータが、私の心にぶつかっていく。

この言葉で、私は非物質の存在を再認識する。
私の心は大きな波を立て、新たな発見の感動を表現していた。 



こうして私は、ありとあらゆる面で「剣」を遥かに凌駕する(と思われる)、

音速兵器「言葉」を手に入れることとなった。




季月 #2

私の目的。

1)「剣」のような物質情報の撤廃。
2)「言語」のような非物質情報の推進。 
3)それらに伴うオーロラメモリーの圧縮。 



あの子は今年の戦闘祭で、こう言った(らしい)。

「あなたは強いんですか? 本当に強いですか? どのくらい強いですか? 誰よりも強いですか?
 まさかわたしよりも強いつもりですか? だったら――――証明してみせろ


あの子は何を知り、何を想い、何を考え、何を胸に、この言葉を発したのだろう?
「証明してみせろ」と。 
少なくとも私は、こう解釈した。 
「証明は可能ですよ」と。 

そしてそれは、とてもとても、簡単なことだ。



卒業前の実地試験。 
戦闘能力に長けた生徒が紛争地域に行く事は、この学校の歴史の中でも珍しい話ではない。 
ファーストクラスの修学旅行を生き延び、教師たちによるテロを阻止したほどの実力を持つアリスが、 
そのような地域に行かない、という事は考えられなかった。 
さすがに、別世界にまで飛ぶとは思っていなかったけど。 


残念ながら私には目立った戦闘実績はなかった。 
(教師たちに腕っ節を自慢する暇があれば、戦闘効率化の理論研究を進める時間に充てたかった。) 
そのため、私の実地試験は自然災害に見舞われた地域の復興ボランティアとなる所だった。 
やってられるか! 
私は「証明者」となるんだ。 

あの子と同じ世界に立って。私の優位性を。 
証明するんだ。 


そこで私は、アリスが実地試験へと向かう世界に潜り込む事にした。 
アリスに関する情報をかき集め、<自主規制>などいくつかの書類を偽造し、入界審査に備えることにした。 

また、実地試験には補佐役の後輩が一人必要だったので、唯日を連れて行くことにした。
あの子にはもっと強くなって欲しいと思っていたし、実地試験の補佐(のフリ)はいい戦闘経験になるだろうと思った。 
ら、あの子は一体なにをやらかしたのか、どっか別の世界に飛ばされて行ってしまったらしい。 
恐らく、入界審査で下手を打ったのだろう。さすがにあの子に事前情報を与えなさすぎたかも。 
…私の方も、まさか穿いてるパンツの柄を聞かれるとは思ってなかったけども。 
あの子の事だから、地味目な感じで答えたら普通に通ったけど。 


唯日のことはまぁいい、本題へと再帰する。 
アリスの言う「証明」を行い、私の目的を達成させるには。 
私の理論によって、アリスよりも大きな戦闘成果を挙げればよい。 
それだけ。それだけなのだ。 




唯日 #3

〜あらすじのこれまで〜


〜数日前〜

キヅキ「なんかうちの学校、卒業試験で南の島に連れてってくれるらしいよ。
     後輩1人までなら一緒に来てもいいんだって。唯日どうする?」

 
ユイカ「えっなにそれ!行く行く!行くに決まってるじゃないですかーえへへ!
     うちの学校、そんな面白そうなことやってんだね〜。」

 
キヅキ「あ、あとそこの島は緋森生であっても帯剣禁止だから。
     学校にちゃんと置いてきなさいね。」

 
ユイカ「ふーん、治安良さそうなところなんだねぇ。楽しみ楽しみ!」


〜試験前日(移動日)〜

キヅキ「ちょっとこっち来なさい。
     現地に移動の前に、向こうの建物で『入界審査』があるから受けてくるのよ。」

 
ユイカ「に、にゅうかい?なんかの会に入ってないと行けないとこなの?」
 
キヅキ「…まぁそんなところね。
     いろいろ質問されると思うけど適当にウソついといて。」

 
ユイカ「テキトーって言われても…。よくわかんないっすよ!
     それに、ウソついたらダメなんじゃないの?」

 
キヅキ「大丈夫、あんたの設定はこの紙に全部書いてあるから。これの通りに喋ればいいのよ。
     あんたを南の島に連れてってあげるために、お姉ちゃんだいぶ苦労したんだから!」

 
ユイカ「は、はぁ。まぁそんだけでいいんなら……。」


〜セリフォリーフ・入界審査〜

審査官「次は?えーと、仙王寺 戯曲さん。はい、こっちきてー。
     始めはな、えーと、ほんなら生年月日と職業、あと簡単に家族構成教えてくれんか。」

 
ユイカ「はい、16歳の12月30日生まれ、職業は緋森高校の1年生で、現在は母と二人暮らし…」
 
審査官「そんなら次は、今日穿いてきたパンツの柄教えてくれへん?」
 
ユイカ「は、はぁぁ!?こんなの審査じゃなくて、ただのセクハラじゃないですかー!!」
 
審査官「いや、これも審査やからね。ちゃぁんとデータは手元にあんねや。
     君が向こうの世界に渡らんくてもええ言うんなら答えんくてもええけど…」

 
(うぅ、勝手に帰ったらお姉ちゃん怒るだろうなぁ…)
ユイカ「え、えと、白地に2cm程度の間隔で水色のボーダーが入ってます…。」

 
審査官「……え?んなわけあらへんやろ。君は<ピーーー>しか持ってへんはずやで。
     これ昨日の調査結果やし、君の家の状況的にも<ピーーー>になるやろ…。
     あー、これはあかんかもな…ちょっと学校の方に連絡させてもらうわ。」

 

(ええぇ、なにこの展開…。)
(というかそれより、仙王寺さんアレなのか…ひぇぇ。)



〜10分後〜

執政官「ドーモ、ロクヨウ=サン!セルフォリーフ執政官です」
 
ユイカ「ド、ドーモ…」
(げげ、本名バレてるし…)

 
執政官「なんでも入界審査の時に虚偽の報告をしたとか?分割世界の掟を破るとは…。
     これは大変なインシデントですよ!ケジメやセプク程度では済まされない!
     この罪はアンジニティにキヨミズをもって償ってもらうしかないですねぇ…?」

 
ユイカ「いや、あの、私、何も話を知らされてなくて、ある人にこう言えって頼まれただけなんですが…」
 
執政官「ナマッコラー!言い訳はサンズ・リバーでお願いしますよ!
     さぁ、この子を連れていきなさい!」

 
ユイカ「ちょ、ちょっとまtt


                           ドタドタドタ
        バタバタン

                                            ギュム! 
     =3


〜焔の月 1日目に至る〜
 




季月 #3


私ですら、にわかに信じがたい話ばかりだから、大半は憶測の域を出ないんだけど。 

我が妹の能力。 
非物質エネルギーである途心を、剣のような物質情報に格納するのでなく、 
「非物質情報である『電磁波』に格納できる」。 

あの子に能力の自覚があるわけじゃないから、うまく制御はできない様子だけど。 
というか、能力の発現条件や制約かなんかがあるのかしら? 
というわけで、詳しい事は全然分かってないんだけども。 

少なくとも、あの子は剣を用いずに「ビルド」を実行した事例がある。 
この件は特に詳しく調査したいのだけど、 
まさか実妹に人体実験しかけるわけにもいかないのよねぇ。 


それにしてもこの能力、ホントとんでもないわよ。 
あの国が全力で唯日の能力を隠蔽し、それが公にされないよう監視し続けてるわけで。 
この事実を知ってるのは国の特殊な機関と緋森の上層部ぐらい? 
一次目撃者や私たち家族ですらウソの情報を与えられ、誤魔化されている。 
まぁ一次目撃者でない私に対しては、機関のチェックも甘かったのだけど。 

そもそも、この能力が発現したおかげで、私は非物質情報が剣の代替となる可能性を見いだせた。 
その点ではあの子に、本当に感謝してる。 
特別ルートで緋森にも入学出来たしね。私自身は無理やりねじ込んだ形だったけど。 


私があの子をこの世界に連れ出そうと(して失敗)した本当の理由。 
それは、誰にも監視されず、かつ生命的な危機の迫る環境において、 
あの子の能力を完全に発現させたかったから。 
黒野先生の言ってたことは大体信用してないけど、 
「剣術は事象に対する殺意により駆動する」って言ってたのが、ずっと気になってて。 
これがもし途心の扱い全般に関わる法則なら、あの子はこの環境で自分の能力をモノにできるはず。 
そしてそれはきっと、私の研究に繋がる。 



だから、もうちょっと待っててね。